CLOSE TO THE EDGE。/田中宏輔
 
●でもなく●ママ●を●思ふ●ママは●蟹の●巨大なハサミにまたがって●ビッビー●シャキシャキッと●おいしいご飯だよ●ったく●ぼくカンニングの竹山みたいな●怒鳴り声で●帰り道●信号を待ってると●いや●信号が近づいてくるわけじゃなく●信号が変わる●じゃなく●信号の色が●じゃなく●電灯のつく場所がかわるのを待ってたんだけど●信号機が●カンカンなってた●きのうのこと●じゃなくて●きょうのこと●ね●啄木が●ぼくの死体と戯れる●啄木が●ぼくの死体と戯れる●さわさわとざらつく●たくさんのぼくの死体を●啄木が●波のように●足の甲に●さわっていくのだ●啄木は●ぼくの死後硬直で●カンカンになった●カンカン鳴ってたのは●
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