CLOSE TO THE EDGE。/田中宏輔
は●きのうの夜更けだ●二倍の大きさにふくらんだ●ぼくのコチコチの死体だ●だから行った●波のように●啄木の足元に●ゴロンゴロン横たわる●ぼくの死体たち●蟹●われと戯れる●いたく●静かな●いけにえの食卓●ぽくぽく●ったく●ぼく●と●啄木●ふがあ●まことに●人生は一行のボードレールである●ぼくの腕●目をつむるきみの重たさよ●狒狒●非存在たることに気づく●わっしゃあなあ●木歩のことは以前に●書いたことがある●木歩の写真を見ると思い出す●関東大震災の日に●えいじくんが●火炎のなかで●教授に怒鳴られて●ぼくの部屋で●雪合戦●手袋わざと忘れて●もう来いひんからな●ストレンジネス●バタンッ●大鴉がくるりと振り向き
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