時と町/山犬切
 
 仔牛を乗せてトロッコが運ばれている… 前の机の下のノースフェイスのバッグからグローブがちらりと見えた 昼休みが来て学食の惣菜パンを2つ食べパックのコーヒー牛乳で流し込んだ 虚ろだと僕は思う 温められる水のような夢を明晰に見ているだけだろう 現実はどのように破れるのだろうか 地震や津波や原発事故だろうか 海外の紛争や侵攻が現におこっている国の人達のリアルと日本に暮らす僕のリアルとの懸け離れを想うと眩暈すら感じるほどの断絶が思考に横たわった 僕のリアルはそうした異国で生きる人達の現実とは交わることも触れることもないまま平坦な地続きで終わるのか 季節の変わり目を告げる風がカーテン越しに吹いてくる 白昼
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