リスキーな夜の話/ホロウ・シカエルボク
 
びた蝉の死骸
あれを目にしたのは
何日まえのことだったろう
吹かした嘘みたいな
覚え書きばかりが場所を取る
よう、少し脇へどきなよと
似たもの同士で戦争が始まる
バラエティ・ショー
解説の要らないものが一番楽しい
ゲタゲタ笑う分には
やりそびれたことはないかい
仰向けになって天井を眺めると
裁判のような自問自答が始まる
模範解答は持ち合わせがありません
被告は弁護の機会を放棄致します
ばたん、ばたんと
本棚の文庫が二冊倒れる
ブックカバーを無くしちまって
別に片付けた分の二冊
あぁ、何かしら被告に近しい
傍聴席の誰かの役回りなのだと
気づいた瞬間は礼を言う
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