交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
色がどんなものであるにせよ、急いでそれを知る理由は僕にはなかった、これが夢であるのならば、底に意味があろうとなかろうといつか現実の中で目が覚めるのは保証されているわけだし、ならば純粋な興味に従って少し待ってみることくらい全然問題なかった、待つべきではないかもしれないものを待つのは悪い気分じゃなかった、そこにはどんな約束も責任も存在していないのだから…時計が四時三十五分をさして、そろそろ飽きてきたなと思った瞬間に受信を示すランプが点った、が、受信状態は良好とは言えず、ノイズの向こうに微かに人の声があるような感じだった、「聞こえない」僕はトランシーバーを手に取り、通話ボタンを押してこちらの状況を伝えた
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