交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
 
えた、「ノイズが酷い、声らしきものが微かに聞こえる、どうぞ」続けて呼びかけてみたが結果は同じだった、やがて、たどたどしいライトハンドみたいにノイズの周波数は次第に上がっていき、耳をつんざくような轟音になって、それからもと通りのジャンク品みたいなトランシーバーに戻った、僕は酷く下らないことに時間を費やした気になって、控えめに言って頭にきた、そいつを手に取って味気ないリビングの壁に思いっきり叩きつけた、ウェハースを押したみたいにあっけなくそいつは砕け、消え失せ、代わりに現れた僕の生首が床に転がった―ついさっきぶつけられたみたいに、左側頭部が激しくへこんでいた、目と鼻と口からそれぞれ一筋ずつ血を垂らしていた、僕の生首は何度か転がった後、僕と向き合うかのように首の切断面を上手く下にして立ち上がった、よせよ、と僕は言った、「酷い夢だな」生首は僕を詐欺にかけようとしているみたいににっこりと笑った、僕は時計を見た、時間は凄く速く進んだりのんびり戻ったりしていた、僕は時計を壊そうと思った、でも投げつけるようなものなんてすでに残されてはいなかった。


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