交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
くれるのかもしれない、あるいはそいつのもとにもなにひとつ情報など無く、僕と同じようにトランシーバーがなにかを受信するのを待っているだけかもしれない、いっそのこと自分から呼びかけてみようか、何度かそんなふうに考えたけれど、どういうわけか僕にはそれを手に取る気にさえなれなかった、あるいはこんなものになにひとつ意味なんかなくて、ただごみ捨て場で拾われてきたがらくたなのかもしれない、この世界に居るのは僕だけで、このトランシーバーももはやこいつだけなのかもしれない、目下のところ、それが一番妥当な線のように思えた、前にも言ったけれど、なにせそれは到底まともに動きそうな代物には見えなかったからだ―でもこの景色が
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