交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
かった、これはおそらく僕の夢だろうし、こんな現実味を欠いた世界設定の中で、そんな確固たる存在が表出してくる可能性はどう考えてもゼロだった、この片割れを持っているのは、きっと僕の知らない誰かだ、僕はそう確信した、男だろうか、女だろうか?それとも、男とも女ともつかない、不思議な声をしたものだろうか?人語を話す動物かもしれない―いや、だったらこんなもの扱えないかもしれないな…なので僕はとりあえずそいつを人間に限定した、トランシーバーというものは交信をするための機械だ、誰かが意思を持って、それを前にしているに違いない、僕の方にはなにひとつ情報はないが、向こうにはあるかもしれない、そしてそれを僕に伝えてくれ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)