詩の日めくり 二〇二〇年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
  ★荒行
修業とは滝の水に打たれることではない。ことさら肉体を痛打せずとも、日常の中に魂が鞭打たれる、厳かな瞬間はある。


二〇二〇年二月十日 「きみの名前は?」


きみの名前は?
(ジャック・ヴァンス『五つの月が昇るとき』中村 融訳)


二〇二〇年二月十一日 「勇気がなかったばかりに」


 下鴨に住んでたとき、よく高野のスーパー「イズミヤ」によく行ってたんだけれど、ある日、イズミヤのフードコートでなんかを食べてたら視線を感じたので見ると、テーブルひとつあけた前の席に坐っていた青年が、ぼくのことをじっと見つめていた。タイプのがっしりとした体格の青年だった。もし
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