詩の日めくり 二〇二〇年二月一日─三十一日/田中宏輔
の校門のところに、つつじが植えられていて、よく花を引き千切って、花の蜜をなめた。いまのぼくならしないと思うのだけれど、見るひとがいなければ、見つかりさえしなければ、ちょっとした悪いことくらいしてもいいのだと思っていたのだろう。そうでも思わなければ、自分のしたことが理解できない。見つからずになめた蜜はことさら甘かったように思える。いや思えたと表現できるだろう。ひとつの告白だ。
二〇二〇年二月九日 「尚 泰二郎さん」
尚 泰二郎さんから、詞華集『郵便ポストのナイチンゲールな夜』を送っていただいた。タイトルとか小見出しの言葉の定義集のような気がした。たとえば、こんなもの。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)