詩の日めくり 二〇二〇年二月一日─三十一日/田中宏輔
曜日のこと。ぼくがまだ20代だったと思うけれど、北欧館でできた台湾人のぽっちゃりした、まだ30歳にもなっていないひととできて、おなかがすいたねって話をして、つたない英語をぼくはしゃべっていて、それで、ふたりで揚子江に行くことになったんだけれど、帰るときに、彼が代金をふたり分出そうとしたから、ぼくは、そこは割り勘だと思って、だって、彼はいくらぼくより年上だと言っても、旅行者なのだから、当然、割り勘だと主張して、割り勘で勘定を支払った記憶がある。それにしても揚子江はおいしいラーメン屋だった。齢をとって、大阪には行かなくなったけれど、ときどき、揚子江ラーメンを食べに行くだけのために大阪に行ってもいいかな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)