詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
・ジバゴ』のユーリイ・ジバゴの詩編 19「夜明け」最終連」
ぼくといっしょなのは名のない人たち、
樹木たち、子供たち、家ごもりの人たち、
ぼくは彼らすべてに征服された、
だたそのことにのみ ぼくの勝利はある。
(江川 卓訳)
誤植「だた」は惜しい。「ただ」だろ。
二〇二〇年一月八日 「レーモン・ルーセル」
レーモン・ルーセルの『ロクス・ソルス』を読み終わった。退屈はしなかったが、苦痛だった。情景描写ばかりで、会話文がなかった。いや、会話文はあったが、会話はなかった。しかもそれさえ極度にまれであった。強迫神経症のひとが書いた文章のように思えた。細
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)