詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
。細部にいたって緻密で正確無比だったのだ。


二〇二〇年一月九日 「象」


 第2次世界大戦の末期に、動物園の象を殺したっていうことが書かれた本があったかと思うんだけど、もうエサをあげられなくなって。


二〇二〇年一月十日 「ゾウさん」


「リンゴ3個あげるね」「やせた?」「そうかい」「もう10個ちょうだい」「いいよ、ほら」「やっぱりやせた。自分のからだをつかってつくってくれなくてもいいからね」「そうかい」「そうだよ」「じゃあ、いくね」「バイバイ」「バイバイ」「かっこいいでしょ」「そうだね」「さいきん、近所に引っ越してきたんだ」「そうなんだ」「うまくいくといいなあ」
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