詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
出すような男らしくはきはきとしたママだったから。真相はわからない。お店はいまはもうないみたい。ママも齢だったから、もう死んじゃってるだろうしね。ぼくが小学生のときにだって、40歳は過ぎてたと思うから。まだ生きてらっしゃたら失礼だね。その場合は、ごめんなさい。


二〇二〇年一月二十七日 「ニュー・ラグ」


 ぼくがはじめてゲイバーに行ったのは、高校生のときのことだった。しかも、父親といっしょにだった。父親と、当時、ぼくの父親が経営していたスナックの従業員の青年といっしょにだった。ゲイバーに行ったとはいっても、ゲイバーが昼間にやっていた時間にだったけれど。「ニュー・ラグ」という名前のゲ
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