詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
のゲイバーだった。木屋町にあた。いまはもうないけれど。当時、昼間にもやっているゲイバーはほかにはなかったと思う。夜には行かないけれど、昼間だったら、という若い子が集まるようにっていって昼間にも開けるようにしていたようだった。でもそのときは、ほかにお客がいたかどうかの記憶はない。父親がおもしろい店があるからと言って連れていってくれたのだ。父親が連れて行ってくれたのは、その1回だけだった。3、4年後、記憶を頼りに、大学の3年生になって、そこにひとりで行ったのだが。


二〇二〇年一月二十八日 「父親はゲイではなかったけれど」


 父親は趣味人で、ゲイではなかったけれど、ゲイ雑誌の『薔薇族
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