詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
つに、「汚いね。」と言ったのだけれど、その友だちだと思ってたやつが、そこが被差別部落の地域だから、ぼくが汚いと言ったと、被差別部落の生徒たちに告げ口したのだった。そのせいで、ぼくは学校で、被差別部落の同級生たちから吊るし上げをくらったのだった。30歳を過ぎたときに、実母から、自分が被差別部落出身だったことを知らされたときにも、ぼくの血の半分が被差別部落民だってことになにも感じなかった。いや、少し優越意識を持ったかな。ぼくが好きだった作家も被差別部落出身だったから。そんなわけで、小学生のときに自分の血の半分が被差別部落民のものだったことを知ってたら、あのときの吊るし上げの状況が変わっていたかもしれな
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