労働/山人
る場面でも途切れることがなく存在してゆく
*
悶々としたものが、地面に近い高さに浮遊している
眼球の奥には、重い飛行物体がうずくように微動し
その微かなエンジン音が俺の体のだるさを助長している
だるい、確かにだるい
まるで俺自身が疲労の塊から生まれ
そのまま、無碍に時間を経過してきたかのようだ
アスファルトに地熱はない
地表が湿り気を帯び、室内の壁際は黙る
景色は前からそこにあったように平然とたたずみ、一枚の絵のようだ
*
目の前の仕事をこなしながら私の脳裏の中には目まぐるしい羽音が飛び交っていた
虫たちは羽音を不気味に立てて下に上に横へと縦横無尽に動き回
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