労働/山人
き回っていた
私はそれに逆らうでもなく淡々と仕事をこなしていくしか術を持ち得なかった
午後には残照がまぶしく顔を照らし逆光となる
次第に重苦しく体は疲労し私は木に腰掛けて息を吐いた
また冬が来るという真実だけが重く厳しく悲しかった
*
正午近い、この薄光る昼時の、他愛もない、この残酷な時を過ごしているのは私だ
背負ってくれ、と鬆の入った骨の老母を背に階段を登れば
あたりには散らばった越冬害虫がひらりと身をかわす
まだ死にたくはないのだと、この晩秋の沈黙に漂うのは凍り付いた希望
正午になれば平たく重い時間が降り立ち
むごいほどの静けさは鉛の冬を暗喩する
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