労働/山人
 
出されている
壁際に押し付けられた焦りは、すでに発光することもない
また今日も名もない呪文を唱えながら
毛をむしり取られた獣のように作業する
一日は始まる。そしてまた私は演じ続けるだろう

*

空が重く垂れさがっている
泣きそうな重い空気が地面に着陸しそうになっていた
野鳥は口をつぐみ、葉は雨に怯えている
狂騒に塗れたTVの音源だけが白々しく仕事場に響く

悪臭を放つ越冬害虫が空を切る
その憎悪に満ちた重い羽音が気だるく内臓に湿潤するのだ
不快な長い季節の到来を喜々として表現している

こうして、悪は新しい産卵をし
悪の命を生み続ける
不快な空間はあらゆる場
[次のページ]
戻る   Point(1)