亡者の先導、沸点のブラッド/ホロウ・シカエルボク
 
努力をしても拭い去ることが出来なかった、不器用と頑固さで疑問符を先送りに出来なかった、ひとつの疑問の為に立ち止まることが得意だった、納得がいくまで動こうとはしなかった、そしていつだって死の影がそこにあった、余りにも澱んだ、垂れこめる雨雲のような心だった、視界に留まる限りの屋上を俺は見上げた、マンションの屋上、デパートの屋上、廃ビルの屋上、コンサートホールの屋上、どうしてそんなものばかり見つめてしまうのか分からなかった、もしかしたらそこに、鳥のように羽を休めている時間を見ることが出来ると思ったのかもしれない、時は、そうだ、観念的な苦痛のようなものだった、はしゃいでいるよりは、眉間に皺を寄せてなにかを
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