どこからか 声が聞こえるな まぼろしのように 響いているな でも それは この中庭とは関わりのない とおい外の世界の声 だから それは私に触れられない この中庭を侵すことはない この中庭で 一日がゆっくりと暮れてゆく間 その静けさの間に 外では数億の時が過ぎ 数万の民が斃れて 血を流す 私はそんなことにも気づかずに ひとり平和に この中庭で時を過ごすだけだ