小詩集・中庭/岡部淳太郎
 
ぎず
明るすぎず
私だけのためにあるのだから


 中庭 4


どこからか
声が聞こえるな
まぼろしのように
響いているな

でも それは
この中庭とは関わりのない
とおい外の世界の声
だから
それは私に触れられない
この中庭を侵すことはない

この中庭で
一日がゆっくりと暮れてゆく間
その静けさの間に
外では数億の時が過ぎ
数万の民が斃れて
血を流す

私はそんなことにも気づかずに
ひとり平和に
この中庭で時を過ごすだけだ


 中庭  5

{引用=
この中庭に 重力によって
大気の層が留められていて
それ
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