未だ、その血飛沫は。/ホロウ・シカエルボク
たないものだ、過去も現在も未来も、同じお前自身の触角の蠢きに過ぎないのさ、誰だって現在の中だけで話すことなど出来ない、口にする言葉だって過去の蓄積じゃないか、夜はきちがいの回転数でお前の脳髄を貪る、お前の内耳をずっと震わせているのはそいつさ、そう、物質の悲鳴とでもいうべき奇妙な振動、それがお前に現状を訴え続けている、だけど悲しいかな、お前はそれを知ることはない、もしも知ってしまえば、たちどころに本物のきちがいになってしまうだろう、人間の身体はそんなものを受け止めきれるように作られてはいないからね…だから言葉が生まれた、言葉は生命との闘いだ、聖戦なんてものではない、自分自身が今日を生き残るための、純
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