未だ、その血飛沫は。/ホロウ・シカエルボク
 
などなかったというように、遮二無二吐き出した言葉などすべて無駄だったというように…言葉の力を信じてしまう連中が理由を駄目にした、言葉は鍵に過ぎない、パスワードを間違えてしまえば、どんなものを開くことも出来ない、意味は在りながら無い、それはほんの少しの認識の方法の違い、目視出来ない誤差を埋めるための闘い―子供のころ、たまたま、なんらかの理由でひとりで佇んでいた黄昏に胸の内に飛来した漠然とした恐れのようなものを、お前は経験によってより確かなニュアンスで受け止めることになるだろう、そう、口もとにお前の血をべっとりと付着させているのは、そんな風景の中に隠れていたやつらさ、時間軸など感覚の中では意味を持たな
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