詩の日めくり 二〇一九年七月一日─三十一日/田中宏輔
 

「よくしていますよ。日本のものも多いです」
「日本の詩は、訳されていますか?」
「いいえ。小説ばかりですね」
「とくにだれでしょう?」
「村上春樹ですね」
「ノーベル賞候補でしたね?」
「ええ」
「いま読んでいるのは、ディラン・トマスという詩人の
 書簡集なんですが、もう誤植が多くて
 校正ミスが10箇所以上あって
 びっくりしています。
 4200円もするのに
 まともな校正もしないなんて
 ほんとに不誠実な出版社ですよ」
電車がきた。
座席に空きがなかったので
ふたりは立ちながら
「こんなミスを見逃すのですよ」

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