詩の日めくり 二〇一九年七月一日─三十一日/田中宏輔
 


ぼくのなかのひとりの声が言うのだった。
存在するためには形式が必要である。
それが物質であっても、概念であっても。

存在は形式を求めると言ってもよいだろう。

形式を、そのつどつくらなければならない詩と違って
短歌や俳句がこんなに盛んなのも肯ける。

愛する対象を求めるぼくの気持ちも
愛する対象を求めやまないぼくの気持ちも
たんに形式を求めてのことに過ぎないのかもしれない。

しかし、愛は同時に自他の存在を相補っているものでもある。
自己の形式と他者の形式を。

よい詩人は語義を拡げ、語義を深める。
形式がひとつの限界なら

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