詩の日めくり 二〇一九年七月一日─三十一日/田中宏輔
きのうの微笑みは
きょうにはもう意味を変えているのだ。
とどめておいた思い出も
思い出すたびに違ったものになっているとしたら
いったい思い出とは何か?
形が何であるか?
わたしたちは語るであろうけれど
語るわたしたち、ひとりひとりの胸のうちで
その意味概念が異なるものとしたら
いったい形とは何であろうか?
形を
言葉、わたし、わたしたち、あなたと言い換えてもよい。
「その形が何であるか
何という形か
コンテキストのなかで異なるものなのですよ」
「たとえば三角形ですね」
「そうです」
「いや、ぼくがお聞きし
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