詩の日めくり 二〇一九年七月一日─三十一日/田中宏輔
だれかほかにいるであろうか。
わたくしは、ほかのだれが、どのときに神であっても当惑しないだろう。
わたくしには、
あらゆる瞬間の人間の行いが神のそれに思えるからである。
神が、わたくしである。
わたくしの短い生のあいだに、
神が、わたくしであった瞬間はあったのであろうか。
あったかもしれない。
自分が神であったという自覚があるとは限らないからである。
忘我のわたくしについては、
わたくしは、いっさい目隠しされているからである。
これを現在形で語りなおしてもよい。
わたくしは、神が、いつ、わたくしであっても、
いっこうにかまいはしないのだ。
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