最後の一艘/ホロウ・シカエルボク
らしかった、数分おきに意識を確かめられた、反応することは出来なかった、身体になにかされているようだったが、もうそれをはっきりと感じることは出来なかった、幾つかの振動のあと、唐突に眠りが訪れた、「ギリギリだ、でも助かる」夢の中でそんな言葉を聞いた、神様は執拗で残酷だ、そう思いながら目を覚ました時には三〇時間が過ぎていた、すべては理解出来ていた、苛立ちも悲しみもなかった、怒りも…無人島で長いこと暮らせばこんな気分になることが出来るかもしれない、ある意味でこのベッドの上はそんなものだったのだ、看護師が目を開けている俺に気付いてにっこりと笑い、すぐに部屋を出て行った、医師を連れてすぐに戻ってきた、気分はど
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