最後の一艘/ホロウ・シカエルボク
 
と変換された、生まれたときに見たやたら眩しい光のことを思い出した、それが本当の記憶かどうかなんて確かめる術もなかった、もうすべては形の無いもののなかへ還ろうとしているのだ、脳裏に浮かぶ何人かは予想していたけれどそんなものまるで浮かんでこなかった、赤子の、クーイングのような囁きがずっと聞こえていた、それは意味を直接こちらに伝えることが出来た、それは確かにこれまでで最高に良く出来た救済措置だったと言えるだろう、人生はもう濃い霧の中に消えていこうとしていた、身体が担ぎ上げられた、いつの間に?サイレンの音なんか聞こえなかった、それとも、とうとう肉体から解放されたのだろうか?移動が始まった、どうやらまだらし
[次のページ]
戻る   Point(1)