詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
いう記憶通り、おもしろい作品だった。内容は憶えていなかったのだけれど。きょうから、イアン・マクドナルドの『火星夜想曲』を読む。まあ、きょうは、後書きと冒頭の作品の一部で眠りにつくことになるのだろうけれど。楽しみだ。これは初読だ。
二〇一九年一月六日 「創卵記」
神は鳥や獣や魚たちの卵をつくった
神は人間の卵をつくった
卵は自分だけが番(つがい)でないのに
さびしい思いがした
そこで、神は卵を眠らせて
卵の殻の一部から
もう一つの卵をつくった
卵は目をさまして隣の卵を見てこう言った
「おお、これこそ卵の殻の殻
白身もあれば黄身もある
わたし
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