詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
えた。「お役人さまは、お知りじゃないんですね。このあたりでも、近頃は、醜いホムンクルスが徘徊するようになって、わっしらのような者に、ホムンクルスを狩るようにお達しが出されたんでさ。」わたしは自分の無知を恥じて、口をつぐんだ。男はそれを悟ったかのようないやらしいニヤけた笑いを顔に浮かべて、突き刺したホムンクルスを腰にぶらさげた網のなかに入れた。傷ついたホムンクルスの身体から銀白色の霊液が砂利のうえに滴り落ちた。「このホムンクルスのように、化け物じみた醜いホムンクルスたちが増えたのは、つい最近のことですが、ご時世なんでしょうな。」「それ以上、口にするな。」わたしは男を牽制した。どこに目や耳があるかもし
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