詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
対しては、自己は他者を生かす背景に退かなければならない。けっして他者の人生において、自分が主人公となってはならない。と同時に、自己の人生において、他者を主人公にしてはならない。さまざまな感情に振り回されることのない、たしかなものがほしい。ひさしぶりに訪れた建仁寺の境内の様子は、子どものときに記憶していたものとすっかり違ったものになっていた。わたしの子どものときには、わたしたち子どもたちの姿があちこちに見られた。高学年ならば野球の真似事をしていたのではなかっただろうか。低学年ならば、境内の公園の遊具を用いて遊んでいたものであった。池が二つあった。その一つで、わたしたち子どもたちは、よくザリガニ獲りを
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