樹氷のシナプス、そして降り積もる囁き/ホロウ・シカエルボク
 
ことさ、そこに固執して先へ進めないなんて、全く馬鹿げているというほかないよね―燃え盛る炎のようだったうたは、縦長の地底湖の水面に落ちる水滴の音のようなうたになった、でもそれは温度が変わっただけなんだ、それはおそらくは俺を凍えさせるどころか奮い立たせてくれる、炎よりも信じられる熱がそこにはあるんだ、昔眼球に張り付いていた出来事の数々は、視神経の始まる場所でぽつぽつと呟きを繰り返している、時々真夜中に、寝床でまんじりともしないで横になっているとそいつの声が聞こえることがある、それにはどんな印象もない、閉まりきらない蛇口から少しずつ落ちる水滴と同じだ、でもそれは、そう…確かに生きているという事実を俺に感
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