詩の日めくり 二〇一八年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
んの詩は、もう30年近くむかし、ユリイカの投稿欄で毎月のように目にしていて、おもしろい書き方をされる方だなあと思っていた。1989年のころのことだと記憶している。詩集の奥付に「一九八九年 ユリイカの新人」と書いてあったが、それでは、ぼくの記憶と一年ずれる。ぼくが一九九一年のユリイカの新人に選ばれる一年前のことだから、一九九〇年の新人だと思うのだけれど、まあ、そんなことはいいか、倉石さんの詩集『使い』を読んでいるあいだ、つねにガートルード・スタインの文体を思い出していた。対句的なフレーズの反復とずれの手法が似ていると思ったのだった。倉石さんの実生活がどのようなものであるのかは、この詩集『使い』からは
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