野性よ、削ぎ落された地平を/ホロウ・シカエルボク
妙にはっきりと見える月と星の下で
「きらきら星」を口ずさんだ
子供のころに習ったきりで
いい加減な歌詞だったけれど
それを咎めるものもどこにも居なかった
それからうぅん、と
大きな声を上げながら背伸びをした
空を切り裂くように流れ星が駆け抜けた
その瞬間
お前は強い力で地面に組み伏せられた
髪を金色に染めた若い男が
おぞましい笑いを浮かべながらお前にのしかかっていた
なあ、仲良くしようぜ、と
男は酒に割れた声でそんなことを言った
お前はにっこり笑って下から両手を伸ばし
男の頬を触ると自分の方へ引き寄せた
男は戸惑ったのかバランスを崩し
お前の上に崩れてきた
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