野性よ、削ぎ落された地平を/ホロウ・シカエルボク
お前は口を大きく開けて男の喉元に噛みつき
頸椎を覆う薄い筋肉をごっそり?みちぎった
男は悲鳴を上げながらお前から離れ
糞小便を漏らしながら四つ這いで逃げようとしたが
やがて血だまりの中に突っ伏して動かなくなった
お前は男の死体を小屋に持ち込み
包丁で捌いて
小屋の隅にあったガスコンロで
焼けるだけ焼いて食えるだけ食った
いつだったか
人の肉は不味くて食えたものじゃないという話を読んだことがあったけど
なかなかどうして悪くない味だった
保存することも出来ないので
余った部分は川に捨てた
どうせ死体塗れなのだ
タンスで見つけたルームウェアに着替えて
ゆっくりと伸びを
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