野性よ、削ぎ落された地平を/ホロウ・シカエルボク
 


夜は面接官のようにやってきた
河原に残されたボート小屋の中で
お前は朝を待つことにした
主が居るのなら多少の犠牲は仕方がないと考えていたが
入口のそばにひとがたの炭がひとつあり
住居はがらんどうだったので
遠慮することもないだろうと上がり込んだ
電気もガスも当然機能しなくなっていたが
冷蔵庫の中のものはまだ新鮮だった
日持ちのしそうなものも戸棚にたくさんあった
そういえば何度か見かけたここの主人は
ありえないくらい太っていたなとお前は思い出した
食べものがなくなるまではここに居るのもいいかもしれない
役に立たなくなった
自分の乳を飲むことも出来るな、と
その時
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