指さす先になにもない/ただのみきや
 
陽気な死者の祭り
瞑ったままの目配せ
破綻したイズムと奇譚のリズム
きのう改革印のハーブをくゆらせて
麦酒を飲んでいた男の鍵は
階段を踏み外して過去へといってしまった
それでも生臭いその尖塔に
プロジェクション・マッピングされている
太陽/月の暗喩 スフィンクス的沈黙
キスそして鈍器
行方知れずの女の顔


        青い光の檻で飼われていた
        兎たちは皆ウイルスに感染した
        浮腫んだ思考 油膜の世界
        モザイクを外せない情操教育で 
        吊るされる心臓
        片言の痙攣
        乾
[次のページ]
戻る   Point(2)