詩の日めくり 二〇一七年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ときに抱きしめられた感触
あのときに触れた唇の先の肌のあたたかみ
それそのものというものは数えられるものではないのだ
あえて数えてみせるとすれば
ただひとつ
ただひとつのもの
いや
ものでもない
ことでもない
それそのもの
ただひとつ
体験は自然数
それもただひとつの数である
1
凝固点降下
水などの
液体に溶解するものを入れると凝固点が下がるというのが
凝固点降下と呼ばれる現象であったが
以前に書いたことだが
凝固点効果という現象が
記憶が
あるいは想起が
真実だけで形成されることが難しいということ
芸術や他者の経験談や物語による類比によって
すな
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