詩の日めくり 二〇一七年十三月一日─三十一日/田中宏輔
それを作品で現実化することが
芸術家の
詩人の役目なのでしょうね
体験はひとつ
ふたつ
みっつ
と数えられる
数えられるものは
自然数なのだ
小数の体験や
分数の体験などといったものはないのだ
しかし同時にまた
体験は
ひとつ
ふたつ
みっつと数えられるものものではないのだ
あのときのキス
あのときに抱きしめられた感触
あのときに触れた唇の先の肌のあたたかみ
それらはひとつ
ふたつ
みっつと数えられるものではないのだ
回数を数えれば
一度
二度
三度と
数えられるのだが
体験そのものは数えられるものではないのだ
あのときのキス
あのとき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)