The Root Waste Disposer/ホロウ・シカエルボク
る音、砕ける音、特に音には様々な種類があった、じっと耳を澄ましていると、どこからその音がしているのか聞き分けることが出来るようになった、それからは痛みの知覚の仕方も随分と確実なものになった、そうして知ることをひとつひとつ増やしていくと、初めはどこかで朦朧として失われていた意識も、次第に長く保たれるようになった、現象そのものは変えられない、しかし感覚はある程度変えることが出来るのだ、それが収穫といえば収穫だった、それは突き詰めようと思えば幾らでも突き詰めることが出来た、肉体のどのあたりの損傷なのか、どのあたりの血管から流れている血なのか、かすり傷か、それとも致命傷か―「滑落」という現象について一冊の
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