The Root Waste Disposer/ホロウ・シカエルボク
 
冊の本を書きあげているみたいな感覚だった、どんどんと、どんどんと、そのページは増えていった、滑落について書かれた本は、図書館の奥で埃をかぶっている、取り出すことにも苦労しそうな百科事典によく似ていた、そのうちに、滑落しながら笑うようになった、ちょっとした笑みではない、げたげたと笑いながら滑り落ちていくのだ、その滑落について、分からないことはもうほとんどなかった、新しいことを知るのにも大して苦労はしなかった、ただひとつ、どうしても分からないことがあった、それは、どこかで止まった時、身体は、精神は、いったいどうなっているのだろうということだった、そのビジョンはいつも、必ず途中でカットアウトされていた、その先はもうないのかもしれない、あるいは、まだ知るときではないのかもしれない、もしかしたら、本当に命が潰えるその瞬間になって初めて見えるものなのかもしれない―けれどそれはすでに恐れるようなことではなかった、だってそうだろう?少なくともそれは必ず、幾つかの新しい何かをこちらに教えてくれるに違いないのだから―。


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