悪い飲みかたの話/ホロウ・シカエルボク
 
クッションでも縫うみたいに傷を縫い合わされ、ガーゼで覆われたあと、包帯でぐるぐるにまかれた、コメディ映画で見るような大袈裟な巻き方だった、お金は気にしなくていいから明後日また来なさいと医者は言った、それから、警官の方を向いて、三週間くらいだね、と言った、警官は頷き、治療費は俺に言ってくれ、と答えた、医者は頷き、今は会計がやっていないから明日また来てくれと言ってすべて済んだ、「さあ、家に送ってやる」と警官が言い、俺をまたパトカーに押し込んだ「いやだ」俺は押し込まれながら言った、「死体がある、女の死体が」ふー、と警官が短い息をついてこう言った、「なあ、よく聞け」犬に言い聞かすみたいに俺の顔を両手で挟ん
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