ネジ/草野大悟2
 
今世でも、俺は業火に焼かれ続けている。それでも燃え尽きないのは、たぶん、お節介な天が俺に与えたゼピュロスの風に守られ、黒色に染まる直前の空から降ってくるものの正体をよく知っているからだろう。
 君が黄泉の国のきみと重なり合って、俺を焼こうとする時には、さすがに存在の一部がポロポロ焼け落ちしまうが。
 一等最初に、君たち二人が重なった、と体感したのはいつのころだろう。よく覚えていない。なんか、いつの間にか、という感じで。でも、うんざりするほど退屈な昔というわけじゃないことだけはわかる。
 二人が俺に与え続けているものが、俺の存在理由のひとつ(すべてかもしれない)になっていることも……わかる。
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