ネジ/草野大悟2
 
てしまった悲しみのようだった。

 食事を終えた君が睡眠空間に帰ってくる。
 凶暴な食事後の君は、ゼピュロスの風に包まれたがって泣いた。
 弾け出る凶暴さを制御できないことに苛立っているようにおもえて、俺はいつも、君の望むようにしていた。
 元どおりの小さな口とさくら色の佇まいを取りもどした時、君は必ずある決まった所作をするのだった。
 自分の意思で自分を慰め、四回達すると、大きなため息を放出する。
 そのため息は、痛々しさを伴って俺の体と心の隅々にまで染み込み、君と目合い、消化されていった雄たちに対する激しい嫉妬と憎しみの業火となって俺を焼くのだ。
 前前世で、前世で、そして今世
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