詩の日めくり 二〇一七年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
は、みな、ぼくの詩集を買ってくださった方だけである。このきわめて健全な状態は、死ぬまで維持していきたいと思っている。


二〇一七年六月二十日 「エヴァが目ざめるとき」


 ピーター・ディキンソンの『エヴァが目ざめるとき』を読み終わった。彼の作品にしては、毒がないというか、インパクトがないというか、それほどおもしろい作品ではなかった。亡くなりかけた娘の記憶を猿に記憶させて云々というゲテモノじみた設定の物語ではあるが、児童書のような印象を持った。


二〇一七年六月二十一日 「源氏の気持ち」


 源氏の気持ちのなかには、奇妙なところがあって、衛門督の子を産んだ二条の宮にも
[次のページ]
戻る   Point(12)