詩の日めくり 二〇一七年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
にも、また衛門督にも、憎しみよりも愛情をより多くもっていたようである。いや、奇妙なことはないのかもしれない。人間のこころの模様は、このように一様なものではなく、同じ光のもとでも、さまざまな色とよりを見せるものであろうし、まして、違った光のもとでなら、まったく異なった色やよりを見せるものなのであろう。源氏物語の「柏木」における多様な性格描写が、ぼくにそんなことを、ふと思い起こさせた。


二〇一七年六月二十二日 「まだ風邪」


 いま日知庵から帰った。風邪、まだ治っていないが、という話を日知庵でしたら、お友だちから、「肝臓がアルコールを先に処理するので、風邪を治すのはあとになるよ。風邪
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