火炙りの朝/ホロウ・シカエルボク
う
もしも夜が
平穏だけに沈むものであったとしたら
詩人は長生きすることは出来ないだろう
内面の動乱に掻き毟られるときにだけ
奴らの目はギラギラと輝く
それは俺とて例外ではない
思考は水滴のように
水面に波紋を起こし
生まれたヴァイブレーションは水底に到達する
それをキャッチして頭を持ち上げるのは
いつだって
鋭い牙を口腔に敷き詰めた獰猛な魚だ
姿見の前で
入念に研いだ刃物で吾身を掻っ捌く
悲鳴を上げながら
骨、内臓、筋肉と
見事に切り分けられたそれは
墓地の片隅で腐り灰になるまで捨て置かれる
君よ、もしも俺の言葉が
君の中に何かを残したとし
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