詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
こだまや、もやもやとさまよふものとなつてのこり、それを名づけて、人は?詩?とよぶ。
金子光晴 「そ ら」
生きてることは せうことない
肌でよごす肌 ふれればきずつく心
金子光晴 「多勢のイブに」
イブの末裔はお祖々をかくし
棕(しゆ)櫚(ろ)の毛でぼやかしてアダムを釣り
沼辺の虫取りすみれを植ゑて
アダムの塔をHOTHOTさせる。
金子光晴 「わが生の限界の日々」
四十、五十をすぎてからの日々の迅速さ。
メニューを逆さにして下から上へと、
一度抜(ぬ)けたら生え替(かは)らないこの歯ぐきで
人生を味ひ通す望
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