詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
もかへがたかつた。


金子光晴 「愛情」29

 ?唇と肛門とは親戚だ?と、
いくら話しても、その男には分らない。


金子光晴 「愛情」46

 みんな、ばらばらになるんだね。
もう、洋服もつくつて貰へなくなるね。
ジョーさんよ、いづれは皆さやうならだ。
太陽も、電燈も、コップの水も。

 みんな君が愛したものだ。酒も、詩も、
それから、大事なことを忘れてはいけない。
君だけをたよりに生きてきた奥さんの
なじみ深いおまんこさんに言ふ
       サンキュー・ベリマッチを。


金子光晴 「海をもう一度」

 あくと、あぶらと、小便で濁つた海は
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